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  • 墨田区京島

老舗の果物屋さんから生まれたフルーツシャーベットから、ホットケーキ&生パスタのMachiyasuへ。変化する「地元のお店」

地域に根ざした昔ながらの商店街。東京ではなかなかお目にかかれないと思われがちですが、長い年月を超えて、あたたかな営みが続く場所もあるものです。

今回は、そんな商店街のひとつ「キラキラ橘商店街」を訪ねました。

ここで大正13年に創業した老舗の果物屋さん「Machiyasu(旧・町保果実店)」は、世代交代で形を変えながらも、この街の日常に存在し続けています。

名物の生フルーツシャーベットをはじめ、リニューアルオープン後の看板メニューである生パスタとホットケーキもいただきながら、そのこだわりやお店の変遷を伺いました。

フルーツのプロが作った「生」シャーベットを引き継いで

最寄駅の京成曳舟駅から徒歩10分ほど。すぐ近くにそびえ立つ東京スカイツリーと古き良き下町の風景とが混ざり合う場所に、キラキラ橘商店街はあります。

日中から晩ご飯の買い出しがはじまる夕方まで、地元の人々がひっきりなしに行き交うこの商店街で、約一世紀も前に「町保果実店」を始めた町山さんご一家。

お話を伺ったのは、2代目の妻にあたる町山米子さんと、その孫で4代目に当たる郁己(いくみ)さんです。


町山米子さん(左)と郁己さん(右)。キラキラ橘商店街にて

お店のフルーツを使ったシャーベットを始めたのは、亡くなられた郁己さんのお父さんでした。老舗の果物屋さんが作る新鮮なフルーツを使ったシャーベットは話題を呼び、2013年には「すみだモダン」※にも認定されました。

そこで、商店街周辺だけでなく、ふるさと納税の返礼品としても大人気となり、日本全国の人々に愛される一品に。


※すみだモダン:墨田区が10年以上にわたり取り組んできた地域ブランディング事業

生フルーツシャーベット(左から)マスクメロン(税込400円)、オレンジ(税込350円)、スイカ(税込350円)

シャーベットを作る際には加熱したフルーツを使用するのが一般的ですが、Machiyasuでは「生」にこだわり、熱は一切加えません。

果物屋さんだった頃からのつながりを生かして、大田市場から旬のフルーツを仕入れ、味や香りがベストになったタイミングでシャーベットにしているそうです。空気を含ませながら作ることで、スプーンでも軽くすくえる柔らかさとなめらかさを出しているのもポイント。

購入したシャーベットは店内でいただくこともできます

こうして出来上がるシャーベットの味は、フレッシュでみずみずしいフルーツそのもの!滑らかな口当たりと自然な甘さで、人気の理由にも頷けます。

「父は地元が大好きな人でした。シャーベットだったらどんな場所でも作って販売できるのに、小さい頃から慣れ親しんだこの場所がいいと言って、ずっとここで続けてきました」

そう話す郁己さん。生前のお父さんからシャーベット作りのノウハウを引き継ぎ、変わらぬ美味しさを守っています。

銅板で焼く王道のホットケーキとモチモチの生パスタ

シャーベットが大人気になった「町保果実店」から、「ホットケーキ&生パスタの店 Machyasu」にリニューアルオープンしたのは2020年のこと。

これも、郁己さんのお父さんの夢だったそうです。

果物屋さんから、かわいらしい外観の飲食店に

当時はイタリアンレストランで働いていた郁己さん。お父さんから「一緒にやろう」と声がかかり、生パスタも提供することになったのだそう。

モチモチ食感のパスタは生麺ならでは

さらに、ホットケーキは老舗の名店から作り方を教わった、銅板で焼くオーソドックスなスタイル。まるで絵本に出てくるホットケーキのような見た目にキュンとします。

これぞ王道!なホットケーキ

卵は契約している業者さんから黄色味の強い良質な卵を仕入れているため、生地も鮮やかな黄色になるのだそう。

とろけるバターをなじませて、特製の黒蜜をかけたら……?

バターも黒蜜もたっぷり!

あとはナイフとフォークで美味しくいただきます。昔ながらの商店街で食べるホットケーキ。なんだか特別な気分になりそうです。パスタの種類やホットケーキのトッピングも豊富で、一緒に来た人とシェアするのも楽しそう。

パスタとセットになっている「まるごとトマトサラダ」もGOOD

町山さん一家の人柄なのか、一つひとつのメニューを丁寧に作っていることが感じられる料理ばかりです。

主にお店にやってくるのは、商店街にお買い物に来る近隣の人たち。Machiyasuが果物屋さんだった頃から知っている方も多いそうです。

変わりながらもつながっていく。商店街の一角で、今日も

東京スカイツリーのすぐそばとはいえ、最寄の京成曳舟駅からも程よい距離があるキラキラ橘商店街。外からやってくる人にも「どこか懐かしい」と注目されたりもしますが、あくまで地元の人々の日常がある場所です。

果物屋さん時代からこの商店街で生活をしてきたお祖母さんの米子さんが、この街のご近所付き合いについてお話ししてくださいました。

「昔は、この辺はなかなか前に進めないくらいたくさんの人通りがあったんだけど、それも随分落ち着きました。でも、商店街のお店同士でお互いに買い物をしたり、ご近所さんから『お惣菜を作ったから』と届けてもらったり、そういう付き合いは今もありますね」

時代の移り変わりとともに、商店街の姿も変わっていきます。果物屋さんからシャーベットを始め、ホットケーキ&生パスタの店へと変化していったマチヤスは、まさにそれを体現していると言えそうです。

変わらないことよりも、姿が変わっても人と人とのつながりが続くことの方が、きっと大切なのかもしれません。

「今はワンオペ営業で大変な部分もありますが、ゆくゆくは他のスタッフも雇えるようになって、よりお客さんに親しんでもらえるお店になればいいなと思います」と、郁己さん。

地元じゃなくてもなんだか「地元みたいな街」の商店街を散策しながら、ぜひお店に訪れてみてください。

お持ち帰り用のデザートには、もちろんフルーツシャーベットを。

素敵なHello!が、今日もあなたに訪れますように。

(取材・執筆:山越栞)

Machiyasu
住所東京都墨田区京島3-20-1  Google mapで見る
営業時間11:00~15:00
定休日火曜
TEL03-3611-3531
WEBhttps://www.014kudamono.com/
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※本記事に掲載している情報は、2023年6月時点のものです。

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